星団のバリエーションの起源
銀河内の星の多くは集団で生まれ、特に星が密集して生まれると、星がお互いの重力で束縛された「星団」という星の集まりになります。星団には大きく分けると、銀河円盤内にある若くて比較的星の数が少なく密度の低い「散開星団」と、ハロー内にあり古くて大きな密度の高い「球状星団」の2種類に分けられます。 近年では、球状星団に近い大質量かつ高密度の若い星団も次々と見つかってきました。このような様々な星団が、どのようにして生まれてきたのか、そして時間が経つにつれてどう進化していくのかをコンピュータシミュレーションを用いて研究しています。
星団形成シミュレーション
星団には球状星団や散開星団など様々な種類がありますが、それらの形成過程の共通点や相違点はまだわかっていません。特に球状星団は、どこでどのようにして形成したかは謎に包まれています。今後、星の進化によって星団内のガスが吹き飛ばされていく過程を再現したシミュレーションを行うことで、様々な星団の形成過程を明らかにしていくことを目指しています。
球状星団と重力波
球状星団は非常に密度が高いため、その中心では星同士の近接遭遇が頻繁に起こり、強く束縛された連星が形成します。星団で生まれた大質量星が進化してブラックホールは低中質量星よりも重いため、星団の中心に集まり、周りの星を弾き飛ばしながら連星間距離を縮め、最後は重力波を放出して合体すると考えられています。星団のシミュレーションから、ブラックホール連星の合体による重力波放出の頻度などを調べることができます。
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(左)形成したばかりの若くて大きな星団 NGC3603(Credit: NASA, ESA, and the Hubble Heritage)。(右)星団形成シミュレーション(Credit: Michiko Fujii)
星団形成シミュレーションの動画
動画ダウンロード: Cluster formation (mpeg, 6.07MB)
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