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研究紹介 Update 2016/Jun/20

Webリリース
星団の形成・進化

星団のバリエーションの起源
銀河内の星の多くは集団で生まれ、特に星が密集して生まれると、星がお互いの重力で束縛された「星団」という星の集まりになります。星団には大きく分けると、銀河円盤内にある若くて比較的星の数が少なく密度の低い「散開星団」と、ハロー内にあり古くて大きな密度の高い「球状星団」の2種類に分けられます。 近年では、球状星団に近い大質量かつ高密度の若い星団も次々と見つかってきました。このような様々な星団が、どのようにして生まれてきたのか、そして時間が経つにつれてどう進化していくのかをコンピュータシミュレーションを用いて研究しています。

星団形成シミュレーション
星団には球状星団や散開星団など様々な種類がありますが、それらの形成過程の共通点や相違点はまだわかっていません。特に球状星団は、どこでどのようにして形成したかは謎に包まれています。今後、星の進化によって星団内のガスが吹き飛ばされていく過程を再現したシミュレーションを行うことで、様々な星団の形成過程を明らかにしていくことを目指しています。

球状星団と重力波
球状星団は非常に密度が高いため、その中心では星同士の近接遭遇が頻繁に起こり、強く束縛された連星が形成します。星団で生まれた大質量星が進化してブラックホールは低中質量星よりも重いため、星団の中心に集まり、周りの星を弾き飛ばしながら連星間距離を縮め、最後は重力波を放出して合体すると考えられています。星団のシミュレーションから、ブラックホール連星の合体による重力波放出の頻度などを調べることができます。


(左)形成したばかりの若くて大きな星団 NGC3603(Credit: NASA, ESA, and the Hubble Heritage)。(右)星団形成シミュレーション(Credit: Michiko Fujii)


星団形成シミュレーションの動画
動画ダウンロード: Cluster formation (mpeg, 6.07MB)

銀河の進化

バーや渦状腕の形成と進化
銀河円盤は自己重力や伴銀河による摂動によって、渦状腕や棒状(バー)構造を生じますが、どのような条件からどのような構造が生まれるのかは、未だ完全には理解されていません。シミュレーションによって、バーや渦状腕の形成条件や時間進化の様子を調べ、円盤銀河の多様性の起源を明らかにすることを目指しています。

国立天文台4次元デジタル宇宙プロジェクトによる銀河円盤シミュレーションの可視化(動画)


銀河円盤のシミュレーション (Credit: Michiko Fujii)

棒渦巻銀河 NGC6814 (Credit: ESA/Hubble & NASA)
N体シミュレーション

惑星から銀河まで
N体シミュレーションは、銀河、星団、微惑星など、粒子が自己重力で結びついている系(重力多体系)の進化を、粒子一つ一つの運動を数値的に積分することで追っていくシミュレーションです。惑星形成から銀河形成まで、様々なスケールの重力多体系を同じ原理で扱うことができます。人間の寿命よりはるかに長い時間スケールで起こる宇宙の進化を「見る」ことができるのが、シミュレーション研究の醍醐味です。
関連: 国立天文台4次元デジタル宇宙プロジェクト
様々なN体シミュレーションの動画をここで見ることができます。



世界最大・最速のシミュレーションを目指して
計算機の発達に伴い、より大規模なシミュレーションをより短時間で実行することができるようになってきました。その一方で、新しい計算機の性能を最大限引き出し、より大規模で精密なシミュレーションを行うためには、新しい計算手法の開発が必要不可欠です。そのために、新しい計算手法の開発に取り組み、世界最大規模・最速のシミュレーションを目指しています。
関連: 世界最大規模の天の川銀河シミュレーション


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